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2023.03.07

my焚人time vol.02

ぜろだよりコラム選

my焚人time vol.02

ヒトよ、火を熾せ!

現在の人類の祖先であるホモサピエンスが現れたのが数十万から200万年ぐらい前だと言われている。ヒトはその頃から火を使い始め、進化のスピードを加速させた。
火を調理に使い、明るさと暖を取り、獣から身を守ることにより、子孫を増やしていった。火を使った調理は、ヒトがタンパク質や炭水化物を摂取するのを容易にした。また、火を操ることができるようになったおかげで、様々な道具をつくることができたのである。

火を使うことの発見以来、ヒトは火と共に存在してきたと言っても過言ではないだろう。そして、火を使うことは、今も、私たちの遺伝子にしっかりと組み込まれているに違いない。今こそ火を熾せ。人がヒトである証と、喜びと共に。

暮らしの真ん中に、薪ストーブの炎がある幸福

薪ストーブは暖房であり、調理器具。さらには、人の心を優しく癒してくれる不思議な力も持っています。暖かさの仕組みは、エアコンやファンヒーターが空気を暖めるのに対して、薪ストーブは、加えて壁や床に遠赤外線を蓄熱させて暖めるというもの。それが、体の芯から暖まる秘密であり、炎が消えてもなお持続する暖かさの理由なのです。また、薪ストーブでつくるピザや煮込み料理は、失敗がなく、格別の味わいをもたらしてくれます。
ところで、薪ストーブを導入することは、犬を飼い始めることに似ていると思いませんか。エサも食べるし、ウンチもオシッコもする。散歩にだって、医者にだって連れて行かなければならない。そこには、ボタン一つで温風が出て来るエアコンの便利とは対極の“手間”があります。でも、それもまた楽しいのです。子どもとの散歩道で拾った杉の葉や松ぼっくりを着火剤にして火をつける。ご近所さんに声を掛けられもらってきた丸太を、チェーンソーで玉にしてから、手斧で割って薪にする。しかもその薪を使えるのは、1年以上乾かしてから。火にくべる1本の薪にさえ、思い出やストーリーが宿っているのです。そして、静寂な夜に、オーロラのようにゆらめく炎と、パチパチと爆ぜる薪の音。きっと、あなたの傍らには、大切な人が寄り添っていることでしょう。

木をエネルギーとして使う理由

 

 

 

日本の国土の約67% は森林。その41% が人工林です。この高い森林率にもかかわらず、木材自給率は、まだ36% 程度。今、日本の森は、必要な手入れがされず荒廃が進み、山崩れや森林機能の低下のリスクにさらされています。近くの山の木をエネルギーとして使うことは、間接的に山の手入れをサポートし、私たちの地域や命を守ることにもつながっているのです。